Report 2019

ごあいさつ

 

わたしたちは踊りたいから踊り、奏でたいから奏でる。音楽もダンスも美術も。

今、ここで作り出されるその瞬間を楽しむために、プロもアマチュアも垣根を越えて、ただ遊ぶところから、全ては生まれるのだと思います。

 

見に来てくださった皆様へ

 3回目の鳥取夏至祭は。学生も参加し始め、少しずつ広がりを見せています。「何もないから何でもできる」と何も知らないまま勢いだけで始めてしまったこのお祭り、昨年より学生さんが手伝い始め、参加する鳥取の人も増え始めています。そして夏至祭以外の時期に再び鳥取を訪れるアーティストも出てきました。

なぜアーティストたちが度々鳥取を訪れるのか、それはこの土地がまだゆったりとしたおおらかさを有しているからではないかと私は思います。空きスペースや公園、河川など使用するために説明に伺うと、面白そうだねえとおっしゃり、物を置いたり通行を塞いだりしなければ大丈夫と認めてくださいます。(首都圏などではまずあり得ません。なのでパレードのようになったり、警備員を配置したりしなければいけない)そのようにみなさんの善意を縫うようにしてこのお祭りは開催されています。

年々規制や取り締まりは厳しくなりつつあります。全国的にも、全世界的にもわからないものは認めない、排他的な動きが加速しています。実際この3年でも表現や言論の自由が何度も問題になり、3回の夏至祭の間にも許可申請の書類数はどんどん増えているのが現状です。さらにイベントは経済効果や集客数で評価されるようになってきており、多数であることが力を持つようになってきています。鳥取県は人口最小県。そんな中どうやって立ち向かったらいいのかと悪戦苦闘しているのが現状です。移住者増やそう、観光客増やそう。

でも、数が全てではない。便利さが全てではない。鳥取にはゆったりとした時間とおおらかさ、そして様々な表現を認める優しさがあります。障がいを持つ人も含めたインクルーシブなダンス、アート活動も盛んです。あまりにもいろんな物事が進むスピードが速くなりすぎている今、丁寧にくらす鳥取のあり方にひかれて、皆再び、三度と集まってくるのでしょう。

もともと多くの芸能はマイノリティによる言葉になりきらない声でした。経済効果による競争や戦いに進むのではなく、自らの暮らしを豊かにするための表現です。様々な表現を認め合うことで、私たちはきっと納得して生きていくことができるようになります。終わった後少しずつ話してみてください。それもまた一期一会。素敵な出会いがありますように。

 

出演者の皆さん、今回訪れることができなかった昨年の参加者の皆さんへ

 3日間は鳥取を知るには短すぎます。なので、また是非お越しください。鳥取はゆっくりゆっくり、でもその分熟成させてお待ちしています。いつ来ても変わらないものって本当はすごく素敵なことなのではないかと思います。またあそこ行かなきゃ、あの人会いに行かなきゃ、そう思える場所が一つでもあればそれはそれで幸せなことだと最近思います。鳥取がそんな場所になりますように。

 

夏至祭staff

企画構成:鳥取夏至祭実行委員会

学生スタッフ: 大久保藍、佐伯恵里、田中哲哉、中村友紀、藤森このみ、吉野紗恵、阿野ふみか、渡辺乃愛、東 緋乃、北川千春、島野 成瑠、田中万智、寺島夏鈴,Li Linxuan

宣伝美術、チラシ・ポスターデザイン:三宅航太郎、加藤咲(うかぶLLC)

宣伝写真:田中良子

映像:鳥取大学映画研究会

写真:田中良子

 

主催:鳥取夏至祭実行委員会・キノコノキカク

       共催:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター、わらべ館、

       協力:鳥取市中心市街地活性化協議会、新鳥取駅前地区商店街振興組合、鳥取市公園スポーツ施設協会、HOSPITALE プロジェクト(旧横田医院、ことめや)、totto、スタジオイマイチ(山口)  鳥取大学学生、鳥取市内の皆様

 

内容

前夜祭

鳥取大学地域学部附属芸術文化センターアートプラザ

18時30分開演

料金:1000円(300円分かける2がプチパトロンシステムによりパフォーマーに還元される。)

学生特別料金500円(300円分がプチパトロンシステムによりパフォーマーに還元される。)

定員:40名

くじ引きによる即興ダンスと音楽のセッション(オービタルリンク、中沢れいさん発案)

自己紹介的なパフォーマンス

① くじ引きにより3人組を作る

② 各自が2分ずつ即興を行う(ダンサーは音楽家を指名したり、CDなど用いても良い)

③ その3人でセッションを行う(4分)

 

残念ながらこの日は雨が降ってしまい、学内周遊型プランを諦めることに。学生スタッフの頑張りで、学内の照明機材をフル装備、豪華なセッションになりました。同僚は「雨は降ってしまっても、学生たちが人工太陽(写真5枚目)作ってくれました」ってちょっといいよねと。各組みごとの解説は後日追加します。

2日目昼

周遊型公演@樗谿

10時ごろからことめや(サンロード)から大移動。(街中を歩きながら探索する)→楽器隊は車移動に変更

 

15時周遊型公演(2時間程度)→屋外40分、グランドアパート内45分程度に短縮しました。

 

樗谿グランドアパート、鳥取東照宮、樗谿公園、梅鯉庵屋形船

料金:1000円(プチパトロンシステム300円かける2付き)

 

雨が降りそうで降らない微妙な中、あまりにも美しすぎる空間にダンサー、音楽家たちはやっぱり出て行ってしまうのでした。時間短縮のため屋形船などを減らしたこともあり、もっと探索したいとの声が出ており、来年?もしくはまた別の機会に探ろうと話しています。⑴樗谿公園の川沿いの舞台というしかない場所(いふくさん、山下さん、山本さん、田中さん、金子さん)手前にいる赤い人は今回の案内人はるみさん(小池さん)。3日間通じて大人気。今年のボタンゲットNO1です。⑵鳥取東照宮内の石畳で長身ダンサーが踊りまくる(大脇さん、いはらさん)、⑶東照宮門中の階段、コントラバスが非常に美しい。ここで雨がうっすらふりかけてドキドキしながら見守る。本当はもう少し見たかったけれど少し巻き気味に。(李さん、吉福さん、鈴村さん、田中さん、中村さん、密かに門のところにいたのが瀬尾さん)⑷個人的にここでやりたいと思った好きな空間裏階段。(古川さん、宮原さん、小谷さん)⑸こちらがグランドアパート、進駐軍が滞在していたということもあり、和洋折衷の不思議な建物になっています。市の重要文化財ですが予算がなく保存のための手立ては打てていません。保存会の皆さんが管理しており、様々なイベントで使用してほしいとのこと。中の様子、また細かなセッションはまた後日。

鳥取夏至祭2日目の様子(撮影:鳥取大学映画研究会)

2日目夜

19時プチワークショップ企画:即興のコンダクション

簡単なサイン(手で示す)を覚え即興でありながらオーケストラのように構成を作り出す作曲手法について学びます。その場での参加可能。晴れた場合は横田医院屋上 (Hospitaleプロジェクト:http://hospitale-tottori.org)

 

ファシリテーション:Miya(フルート奏者)

 

結局雨のこともあり、予約していたパレット鳥取に行く案もあったのですが、HOSPITALE空間を気に入った小川さんの作品制作もあり、HOSPITALE(旧横田医院)での開催となりました。予想以上に多くの方におこしいただき、ぎゅーぎゅーの中、即興演奏の可能性を広げるための試みを行いました。前半30分程度Miya さんから簡単なハンドサインの説明を受けた後、お互いが指揮役を行いながら、そのやり方をマスターしていきます。ダンサーもそれに合わせて動きを作り出し、指揮も行います。

第2部では音楽隊のみ残って音楽を作り、ダンサー達は横田医院の空間を使って自由に踊る(その音を聞きながら)という試みも行いました。ちょっと贅沢な時間なのですが、後からみれない!!みたい!と音楽家たちから不満が続出。後日映像などでアップしたいと思います。

なお、最後の写真は小川さんの作品(日中4時間ほどノンストップで書き続けた一筆書き作品)をダンサーたちが消していく様。私にとっては死者の書の思い入れもあり(小川さんは死者の書のチラシの元絵を描いてくれた作家さん)、今も現在進行形で戦っているので消せないのですが、消すことで成り立つ作品だとのこと。静岡時代の娘いはらさんが全身に引き受けてくれました。ちなみに小川さんは翌日早朝に砂丘でも描いた様子(描いてちゃんと復旧させています)

3日目

いなばのお袋市

だいたい10時ごろから20−30分程度、その後風紋広場に移動→しかし雨が降りはじめる。でも踊っちゃう。

3年目なこともあり、皆さんすでに待っててくださる。ダンサーたちも終わった後は売り切れると鳥取の美味しいものをたくさんゲットしておりました。

 

鳥取夏至祭2019三日目の様子(撮影:鳥取大学映画研究会)

わらべ館ワークショップ

 

1:30-2:30:わらべ館いべんとほーる(晴天時には階段、わらべ夢ひろば含む)にてワークショップ

 

 

親子連れ、学生なども含め70名ほどの参加、誰がリードするわけでもなく、皆でフォローしながら同時多発的に様々なシーンが浮かび上がるワークショップがこのお祭りの集大成。これができるようになるためのお互いを知り、出会う場所でもあるのです。①お互いを知る(オービタルリンク)、②話したり、語ったりしながら、場を生かして作品(即興だけれど)を作り(周遊型公演)、③そこで得たものを鳥取の皆さんに還元する(お袋市とワークショップ)。人と出会い、場所に出会い、町の人に触れそして得たものを各地域に持って帰ってまたそれぞれで耕し種をまく。

特に地域(地方)で活動している人は個人単位で頑張っていてなかなか苦労しているので、情報交換ができるこういう集う場は貴重。他にも頑張っている人がいるんだと思ったらきっとまた頑張れる。また鳥取に来てください。まちはあそびば。皆で楽しい時を過ごしましょう。

写真:田中良子